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2025年11月26日 (Wed)
地上権マンションは買っていいのか?メリット・リスクを徹底解説
マンション購入の相談を受けていると、ときどき見かけるのが 「地上権マンション」 という特殊なカテゴリです。
通常の分譲マンションと何が違うのか、買って本当に大丈夫なのか……。
本記事では、不動産事業 × 技術系企業の視点 から、一般的な解説にはない「実務的な意思決定ポイント」まで深掘りし、地上権マンションのメリット・デメリットをわかりやすく整理します。
1. 地上権マンションとは?普通のマンションと何が違うのか
マンションの所有権は本来、
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建物の専有部分(あなたの部屋)
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敷地権(マンションの土地持分)
のセットで成立します。
しかし「地上権マンション」は例外で、敷地権が 所有権ではなく “地上権” になっています。
■ 地上権とは?
地上権とは、
他人の土地に建物を建てたり利用したりできる権利
のこと。
あくまで土地は「地主のもの」のままになります。
入居者(区分所有者)はその土地を利用するだけの権利を持ちます。
一般的には、
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新築時に土地所有者 × デベロッパーが契約
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定期借地権と似ているが、法的には借地権より強い
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期限が設定されているケースが多い(50年など)
借地権マンションとの違い
| 種類 | 土地の権利 | 更新 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 所有権マンション | 土地も持分所有 | 不要 | 最も一般的・資産性が高い |
| 借地権マンション | 借地権 | 更新あり | 更新料が発生するケースも |
| 地上権マンション | 地上権 | 建物がある限り存続(原則強い) | 借地より強いが、期限付きケースも |
※ 実務では「期限付き地上権(定期地上権)」が多いので注意。
地上権マンションのメリット
① 同じエリアの所有権マンションより安く買える
最大のメリットは 価格の安さです。
土地を買わないため、所有権マンションより 10〜30%程度安い ケースが多いです。
例:
同エリア70㎡
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所有権:8,800万円
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地上権:6,800万円
→ 2,000万円安いことも珍しくありません。
個人の所感ですが、駅近マンションで地上権マンションは多いような印象です。
② 固定資産税が抑えられることがある
土地を所有しないので、固定資産税負担は
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建物部分のみ
になるケースがあります。
これは毎年支払い続けるため、長期のキャッシュフローに影響します。
③ 都心好立地に住みやすい
土地所有者が
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国・公共団体
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企業(倉庫会社、交通系企業)
などの場合、
「超一等地なのに所有権は渡さない」という事情から地上権になることがあります。
結果、本来買えないような場所に住める のは魅力です。
地上権マンションのデメリット(ここが最重要)
① 売却が難しい(資産性が低い)
最も大きいリスクです。
買主候補は
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地上権の仕組みを理解できる人だけ
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金融機関のローンが通りにくい場合もある
ため、流通量が極端に少ない。
→ 将来売りたいときに売れない可能性がある。
② ローン審査が厳しくなるケースがある
銀行は基本「担保価値」を重視します。
土地=安定
建物=劣化する
なので、土地の所有権がないマンションは
評価が低くなる傾向 があります。
→ 借入可能額が下がる
→ 金利が若干高くなる可能性
③ 地上権の期限切れが迫ると資産価値が急落
地上権の期限が近づくと、
「残存期間が20年を切ったあたりから」
資産価値が落ちはじめるのが一般的。
理由:
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金融機関がローンを渋りはじめる
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買主が敬遠する
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建替えが困難
④ 期限到来後は更地返還のリスクがある
期限後は、
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土地の返還
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建物の取り壊し負担
が発生する場合があります。
契約によっては
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建物を買い取ってくれる
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新たな更新契約に進める
などの例外もありますが、必ず地上権設定契約書の確認が必要。
買っていいケースと買ってはいけないケース
■ 買っていいケース
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自分で長く住む “一次取得の実需”
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エリアにこだわりがあり、近隣の所有権マンションが高すぎる
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売却を前提にしない(事実上の“終の住処”)
→ 「圧倒的な立地 × 割安」である場合は選択肢になる。
■ 買わないほうがいいケース
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資産価値や売却を重視する人
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転勤・引っ越しの可能性がある人
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ローンを組んで買う人(審査NGや金利上昇リスク)
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地上権の残期間が短い物件(20年未満は基本NG)
投資目的としては ほぼ成立しない と考えて良いです。
地上権マンションを検討するときのチェックリスト
購入前に必ず この5点だけは確認 してほしい。
① 地上権の残存期間
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何年残っているのか
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期限後の取り扱い(延長可能・買取など)
② 更新条件・地代の有無
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地代を支払う契約か
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管理費・修繕費と合わせて総コストをチェック
③ 金融機関はどこがローンを出すか
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事前審査は必須
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取り扱い不可の銀行もある
④ 売却事例(レインズ・SUUMO)
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そもそも売りに出ていない → 流動性が低い
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過去にどれくらいの価格で売れたのか
⑤ 地上権設定契約書の内容
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買い手は基本、これを読んで判断するしかない
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契約書がない・内容が曖昧 → かなり危険
地上権マンションは買うべきか?結論
「自分で住む」なら選択肢になる。
「資産として買う」なら避けるべき。
特に都会の一等地で、
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立地は最高
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所有権だと高すぎる
という場合は、地上権マンションは合理的な選択になり得ます。
ただし、
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売りにくい
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ローンが組みにくい
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期限切れのリスク
という根本的な弱点は解消できません。
そのため、資産価値や流動性を重視する人には向かない物件です。
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義華編集部
